食事は「噛むこと」と「飲み込むこと」の2つに分けられます。
「飲み込む」ことを医学では「嚥下(えんげ)」と呼びます。嚥下は舌だけではなく、顎や首の様々な筋肉がおこなう共同作業。実は非常に高度な筋肉の運動なのです。
嚥下が上手く行かないことを「嚥下障害」といいます。嚥下障害によってむせたり、気管支に飲食物が入ることを「誤嚥(ごえん)」とよびます。
入れ歯は素材によって厚くなるため、舌の動きが悪くなるとこの嚥下障害と誤嚥を起こします。誤嚥により、気管支から肺に多くの食物が入ってきてしまうと唾液や食べ物の細菌が肺に溜まり、肺炎を引き起こすことがあります。これが「誤嚥性肺炎」です。
最近では高齢者の肺炎は死亡率の上位3位以内に入ってきます。その殆どは誤嚥性肺炎といわれています。誤嚥性肺炎を防ぐことは健康寿命を保つ秘訣なのです。
入れ歯は素材によって薄くすることもできます。また、嚥下機能をしっかり評価しながら入れ歯を作ることができるのです。入れ歯作りの際は、嚥下機能を評価してくれる歯科医院で行ないましょう。
入れ歯作りココに注意!
入れ歯作りにおいて、事前に発見しにくいのが嚥下機能です。
嚥下はそもそも複雑な筋肉と器官の連携プレーです。嚥下機能が低下しているかどうかは専門の医師や言語聴覚士などに診断を受けないと正確には把握できません。
通常入れ歯作りでは歯型の採取から直接製作します。その際に嚥下機能を正しく捉えたり改善策を盛り込むことはなかなかできません。そのため、嚥下を改善するまでの入れ歯はなかなか作ることができません。
まず歯科医師に入れ歯作りに際して嚥下機能の低下や改善についての相談をしてみましょう。また装着時にはテストフードを通じて嚥下のしやすさを測って貰うようにしましょう。
正しい入れ歯作りは?
入れ歯は口内や歯茎の形に合わせて作ることが基本です。しかし嚥下機能の評価は大変難しく、専門のノウハウが必要になります。嚥下機能に詳しい歯科医院を通じて入れ歯作りをすることをお勧めします。
本来総入れ歯を作る際は、仮の入れ歯で1~3ヶ月ほど生活をして顎の位置や噛み合せの高さが元に戻るのを待つのが良いのです。このような仮の義歯を「治療用義歯」と呼びます。まさに噛み合わせや嚥下機能を「治療」するからです。
顎の位置や発話機能が元に戻ったらその状態で本義歯の型をとり製作します。このように作られた入れ歯は本来の「飲み込む力」を取り戻しておりますので、食事を楽しむことができますよ。
作った入れ歯を装着する際にはテストフードによる試食を通じて飲み込み具合を確認し、本人の感覚や症状を見て嚥下状態を確認します。そのうえで歯科医や技工士に相談し、調整をしてもらいましょう。
嚥下機能は健康寿命を伸ばします
嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎を招くリスクになります。高齢者の肺炎による死亡率は年齢が高くなるほど死因の上位に上がります。
誤嚥性肺炎から体調不良が重篤化し入院・死亡となるケースも多いのです。
嚥下機能が低下すると、食事はとろみを付けた料理や流動性の高いものばかりになってしまい、食事づくりの手間も増え、栄養バランスも悪くなりがちです。
食事、飲み物などで日々の嚥下機能が低下しないような機能訓練もあります。入れ歯づくりとセットで健康寿命をのばし、毎日を楽しく生活できるとよいですね。
フェリーチェの入れ歯作り
フェリーチェの入れ歯作りでは治療期間中に嚥下機能を評価することで嚥下障害を起こしにくい入れ歯作りを目指しています。
フェリーチェの入れ歯作り